会社内にある営業部門と管理部門。二つの部門において、管理している売上数値に差異があったりしませんか?それでいて、営業部門も、管理部門も、自分たちの認識・計上している売上数値が正しいと思っていないでしょうか。
例えば、営業部門が契約をとれたことだけをもって売上として管理していたりすると、管理部門が把握している売上高と差異が生じたりします。
あなたの会社では、営業サイドが報告してくる売上高と、管理部門が把握している売上高は一致していますか?もし一致していないのならば、両者が別のモノサシで売上高を測っている可能性が極めて高いです。
別々のモノサシを使っていると、売上高として計上する時点が変わってきてしまいます。これが、両者に差異がでる理由です。
これを、具体的なモノの流れとしてみてみましょう。以下のような取引があるとしましょう。
①顧客と契約が成立する
↓
②商品を顧客へ発送する
↓
③商品が顧客に到着する
↓
④顧客が商品を検収する
↓
⑤顧客が商品代金を決済する
例えば、「店員とお客がカウンターを介してハンバーガーを販売・購入する」ようなシンプルな取引の場合には、①から⑤までの取引がごく短時間に行われていると考えられます。
しかし、世の中には①から⑤の流れに時間の差が生じる商取引も多々あります。そのような場合には、どの時点で売上を計上するのか、ルールを社内で統一しておくことが重要です。売上を認識する時点のことを売上の認識基準といいますが、このうち、②③④をそれぞれ、
②を発送基準
③を引渡基準
④を検収基準
と言います。
これら基準②③④のいずれかにあてはまれば、税務会計上においては「実現主義」の考え方に基づいて売上を計上していると認められます。
ここで「実現主義」とは、①「実際に商品・役務が提供されていること」と、②「その対価を取得していること」を要件とする「販売の実現」をもって収益を計上するという考え方をいいます。
管理部門、経理部門、顧問税理士などの会計・経理・税務関係者は、このような実現主義の考え方にもとづいて売上の計上を取り扱っています。
営業サイドが契約を受注できたことだけをもって売上を記録したとしても、役務提供が未済であったり、役務対価の取得が未済かもしれません。そのような場合に経理部門は売上が実現したとは考えません。そのため、両者の把握する売上高に差異が生じるようになります。
もし社長のあなたが、
「営業部門からの報告数値を管理部門からの報告数値の差異に首をひねるようなことがある」
「営業のトップとして社長ご自身の把握している売上数値が、顧問税理士のいう売上数値との間に差異がある」
上記のような疑問を抱くようなことがあれば、関係者が売上をどの時点で認識・計上しているのか、一度くわしく確認してみることをおすすめします。
何を基準として社内における管理指標とするかという問題と、税務・会計上における正しい売上の計上基準という問題は並列に存在しています。関係者がその利用目的に応じて、正しい情報提供をうけられるよう正しい試算表を作成していることが、まずは大切になります。