インボイス制度が開始されると、売り手と買い手の双方にはどのような影響が出てくるのでしょうか。それぞれの立場でまとめてみました。
インボイス制度の影響について
売り手側の留意点
適格請求書発行事業者には、原則として以下の義務が課せられます。
- 適格請求書の発行
取引の相手型の求めに応じて、適格請求書を交付すること
- 交付した適格請求書の保存
交付した適格請求書を保存しなければなりません。
買い手の留意点
- 一定の事項を記載した帳簿および適格請求書の保存が
仕入税額控除の要件となっています。
- 免税事業者や消費者など、適格請求書発行事業者以外の者から行なった課税仕入は、原則として仕入税額控除の適用を受けることはできません。
適格請求書発行事業者になるためには?
適格請求書発行事業者の登録申請手続きが必要です。
登録は、課税事業者が受けることができます。登録を受けなければ適格請求書を発行することはできません。なお、登録を受けるかどうかは事業者の任意です。
税務署による審査を経て、登録された場合には、登録番号などの通知および公表が行われます。
課税事業者が簡易課税制度を適用している場合はどうなるのか?
簡易課税制度を適用している課税事業者は、課税売上高から納付税額を計算するため、適格請求書保存は、仕入税額控除の要件となりません。
免税事業者の登録申請手続きは?
令和5年10月1日から令和11年9月30日までの日の属する課税期間中に登録を受ける場合には、登録を受けた日から課税事業者となることが可能です。この場合、消費税課税事業者選択届出書の提出は必要ありません。
免税事業者が適格請求書発行事業者となった場合の留意点
- 課税売上高が1000万以下となっても、登録の効力が失われない限り、消費税の申告が必要です。
- 取引の相手方(課税事業者に限る)から求められた場合には、適格請求書を発行しなければなりません。
- 一定の期間は基準期間の売上高にかかわらず、課税事業者として消費税の申告が必要です。
- 登録を受けるかどうかは事業者の任意です。取引の相手型が一般消費者、簡易課税適用事業者、免税事業者の場合には、適格請求書を発行する必要がない場合もあります。