インボイス制度に対応する事前準備
インボイス制度に対応するかどうか、自社で検討する場合の事項は主に下記1~3のとおりです。
1.適格請求書発行事業者の登録を受けるか否か
売上先から、適格請求書の発行を求められるかどうか確認しましょう。売上先が一般消費者、簡易課税事業者、免税事業者の場合には、適格請求書を発行する必要がありません。
2.登録を受けた場合と受けない場合について検討する
・登録を受けると、登録を受けた間は、課税売上高が1000万円未満となっても消費税の申告義務があります。
・登録を受けない場合、適格請求書を交付することができません。これにより、売上先は仕入税額控除をうけることができなくなります。
3.登録を受ける場合の売り手としての検討事項
・取引ごとにどのような書類を交付しているのか確認しましょう。売上先が事業者である取引について、適格請求書の交付がもとめられる取引かどうか確認しましょう。
・交付している書類につき、どのような項目を追加したら適格請求書となるか検討しましょう。適格請求書には、登録番号、適用税率、消費税額等の記載が必要です。
・登録を受けた旨を取引先に通知し、どの書類の交付をもって適格請求書の交付とするか認識を一致させましょう。
・適格請求書の写しの保存方法・管理方法を検討しましょう。写しの保存はコピーに限られません。電子データや一覧表形式、ジャーナル、複写式の控えなども認められます。
・必要に応じて取引価格を見直しましょう。とくにそれまで免税事業者だった方は、商品やサービスの価格について消費税を加味して見直しましょう。
4.登録を受ける場合の買い手としての検討事項
・簡易課税制度を適用するかどうか検討しましょう。基準期間の課税売上高が5000万円以下の場合には、消費税簡易課税制度選択届出書を提出して簡易課税制度を適用することができます。簡易課税制度を適用した場合には、適格請求書を保存する必要がありません。
・自社の仕入れ・経費について適格請求書が必要かどうか確認しましょう。適格請求書の保存がない場合には、仕入税額控除をうけることができず、納税額が増える可能性があります。
・仕入先が、適格請求書発行事業者の登録を受けるか確認しましょう。何が適格請求書に該当するのか、認識を一致させておきましょう。
5.小規模事業者の特例
2022年11月19日現在、政府・与党は、少額の取引についてはインボイスがなくても税額控除を認める時限的な措置を検討していることがわかりました。取引の対象額としては1万円未満とする案が出ています。今後も、小規模事業者の負担増について緩和する措置が発表される可能性があります。