現在、世界中で話題を巻き起こしている最新のAI技術、ChatGPTあらゆる分野で、その活用方法をめぐる議論が沸騰しています。弊社においてももちろん、AI技術が経理業務にあたえる影響について継続的に情報収集を続けつつ、その活用方法を模索しております。本稿では、その一部をご紹介したいと思います。
ChatGPT(以下、CGPT)ができること
CGPTは、ネット上にちらばる無数のデータや情報を合成し、複雑な問題に対して包括的かつ読みやすい回答を提供することができる、といわれています。
ユーザーは、CGPTとの対話を通じて回答を得ることができるようになりあした。これにより、これまではコンピュータサイエンスの知識がある人にしか使えないと思われていたAI技術を、質問文を書くことのできる人なら誰にでも使えるようになりました。
この技術の大きな特徴として、ユーザーの質問に対する答えが迅速に出力されることと日常的に発生するルーティン業務を自動化したりすることが挙げられます。
AI技術が経理業務に与える影響
では、上記のような技術的な特徴により、経理業務はどのように変革されると予測されるのでしょうか。AI技術が人間よりも秀でる強みを列挙します。
1. 業務の自動化
AIを活用することで、ルーチンワークを自動化することができます。具体的には、請求書の作成や仕訳帳への入力、支払い処理など、繰り返し行われる作業をAIが担当することで、人間の手作業を削減することができます。これにより、労働時間の短縮や作業の正確性の向上が期待できます。
2. 予測分析
AIを活用することで、財務データや経理データから一定の傾向や取引のパターンを分析し、将来の業績を予測することができます。予測分析によって、売上高やキャッシュフロー、利益などにつき、確度の高い将来的な見通しをたてることができます。
3. データマイニング
AIを活用することで、人間の手にはあまるような膨大な経理データから、意思決定のために有用な情報を取り出すことができます。具体的には、顧客ごとの購入履歴や支払い履歴を分析し、顧客の購買動向の把握や債権回収の最適化を図ることができます。
4. 人的エラーの削減
AIを活用することで、人的エラーを削減することができます。人間が担当する場合には、作業によっては入力ミスや計算ミスが発生することがありますが、AIによって正確に作業を行うことができます。
これらの強みによっては、具体的な経理業務を下記のように改善することができます。
1. 仕訳入力:AIは、伝票の画像やPDFデータを認識して、自動的に仕訳帳に転記することができます。OCR技術を使って、手書きの伝票でも自動認識することができます。
2. 請求書の処理:AIは、請求書のデータを自動的に読み取り、支払い期日を追跡し、支払いリマインダーを送信することができます。また、重複請求書の検出や不正請求の検知にも役立ちます。
3. 勘定科目の自動分類:AIは、勘定科目を自動的に分類することができます。自動分類により、記帳業務の正確性が向上し、入力ミスを減らすことができます。
4. 経費精算:AIは、レシートの画像を認識して、経費精算書を自動作成することができます。また、不適切な経費精算を検出することもできます。
5. 決算書の作成:AIは、財務諸表の作成においても役立ちます。自動的にデータを収集し、財務諸表を作成することができます。
6. 銀行取引の自動マッチング:AIを活用することで、銀行取引と会計帳簿のデータを自動でマッチングすることができます。例えば、銀行口座に入金された取引と、帳簿上の売掛債権をマッチングさせ、当該売掛金の消し込みが自動的に行われます。これにより、銀行取引の確認作業の時間・手間やエラーを減らすことができます。
7. 予算管理:AIは、予算の立案や管理にも活用できます。AIを使うことで、企業の予算の精度が向上し、コスト削減や収益最大化に繋がる可能性があります。
AI技術を利用する注意点
AIの活用により、人間自身の学習方法や、仕事のやり方自体が変わる可能性が極めて高いです。
例えば、必要のない資料(例えば法律の条文や業界ルール)を読む時間を節約することができるようになるでしょう。
しかし、それは人間側における知識の欠落(例えば法的な思考の欠如)やAI依存を招くことにもなりかねません。経営者においては、これら将来的に起こりうるデメリットも併せて注意深く検討しつつ、AI技術の取り込みに挑戦していくべきではないでしょうか。