経費の二重計上について
一円のミスも許されないのが経理ですが、どうしても起こりがちな典型的なパターンというものがあります。今回は、その典型的なパターンとして、経費の二重計上について見ていきます。
経費の二重計上のデメリット
経費の二重計上を放置していると、税務署からあらぬ疑いを招くことになりかねません。すなわち、実際よりも過大に経費を計上することによって、利益額を少なくし、結果として納税額を過小に申告する意図があったのではないかという心証をもたれかねないのです。過失つまりうっかりミスの二重計上であったとしても、脱税として扱われてしまいかねません。結果として、修正申告や追徴課税の支払いが生じることとなります。
なぜ経費の二重計上が起きるのか
ありがちな経費の二重計上の類型と、その原因には下記のようなものがあります。
1.クレジットカード利用に伴う証憑管理が不適切だった
クレジットカードを利用すると、売上票と領収書の2枚の証憑が交付されることがあります。この2枚の証憑を別々の取引として扱って、同じ取引を2回計上してしまうことが起こり得ます。
2.請求書の再発行を受けた結果、2回計上してしまった
紛失や記載金額の訂正を理由として請求書が取引先から再発行されることがあります。この際に、従前の請求書と訂正後の請求書が存在するために、同一の会計事実について2回分の取引を計上してしまうことが起こり得ます。
3.似た名称の証憑が複数ある
同一の会計事実に対して、「見積書」「請求書」「領収書」の3つの証憑が発行されることがあります。これらタイトルを見誤り、一つの会計事実について複数回取引を計上してしまうことが起こり得ます。
どうしたら経費の二重計上を防止できるのか
では、これらおこりがちな経理ミスをどのようにしたら事前に防止できるのでしょうか。その対策としては、「ルールを定めることの徹底」があげられます。
たとえば、
- クレジットカード取引についての計上は、処理の期限やタイミングを決定すること。
- 請求書の再発行を受けた際には、不要となった従前の証憑にはわかりやすいタイトルを付したり、新たに訂正発行された証憑にはこちらが有効であることの印を付すこと。
- 見積書を経理にはまわさない。
などの対応が考えられます。
さらに、実際に二重計上してしまったとしても、試算表データを確認することによってそれらミスを決算前に発見することも可能です。
例えば、
- 補助元帳を取引先ごとに設定すれば、二重計上されている金額を取引先ごとに発見することができます。
- 月次推移表を毎月確認することで、特定の経費に異常な発生がないか確認することができます。これまでの月の計上額に対して、当月の計上金額が多かったり少なかったりしたときには、なんらかの計上ミスがあることが疑われます。
- さらに、外部コンサルタントや会計事務所と毎月のミーティングを設定し、外部の目を入れましょう。会社外部からのチェック機能が働き、ミスがあっても指摘をうけることができます。
人間がかかわるものである以上、経理ミスはどうしても起きてしまいがちです。しかし、上記のように、二重三重に対策を施すことによってそれらを発見することは可能です。
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