会社経理の現場でありがちなミスについて考えていくシリーズ、今回は売掛金の処理についてです。
売掛金の計上時
請求書を発行する営業担当と、その売掛金を計上する経理担当が分かれている場合、実は請求額が更新されたのに、経理側で更新されていなかったということが起こりがちです。密なコミュニケーションが求められます。もしくは密なコミュニケーションを人的にカバーできない場合には、システムによって解決することができます。
売掛金の回収時
取引先から入金した金額を、売掛金の回収として記録する場合に、請求金額との差異が発生している場合があります。この原因は、多くの場合、振込手数料が関係しています。
振込手数料が差し引かれて入金されているばあいには、計上した売掛金よりも入金額が少なくなっていますので注意しましょう。
■振込手数料が50円差し引かれている事例
請求時 (借方) 売掛金 1,000円 (貸方) 売上 1,000円
銀行口座への入金額 950円
この事例で、誤った計上方法としてありがちなのが下記です。
回収時 (借方) 売掛金 950円 (貸方) 売掛金 950円
正しくは下記のようになります。
回収時 (借方) 売掛金 950円 (貸方) 売掛金 1,000円
(借方) 雑費 50円
正しい仕訳を記録せずにいると、振込手数料分の債権がいつまでも残高に残ってしまい、試算表残高が正確な債権額を示さなくなってしまいます。振込手数料は全体の債権額に対して少額とはいえ、毎月積もってしまうと修正に手間もかかってしまいます。計上時に正確に処理しましょう。
振込手数料をわすれずに計上する対策としては、お使いの会計ソフトに仕訳辞書を設定する方法が考えられます。
仕訳辞書 (借方) 売掛金 ー円 (貸方) 売掛金 ー円
(借方) 雑費 ー円
多くの会計ソフトでは、仕訳辞書を設定することで入力事務の効率化を実現できます。取引先ごとに設定できる場合もありますので、振込手数料が自社負担となっている取引先については、先方負担の取引先とは別に仕訳辞書を事前に用意しておくと便利です。