経理業務は企業にとって重要な役割を果たしますが、その専門性の高さと責任の大きさから、経理担当者の育成は容易ではありません。
どのような理由から育成が難しいのか、以下に紹介します。
1.専門性の高さと責任の重さ
経理業務は専門性が高く、正確なデータ処理や財務報告が求められます。
経理担当者は企業の財務状況を把握し、経済的な判断を行う重要な役割を果たしています。正確な処理と報告は企業の信頼性や透明性に関わります。
経理担当者には高度な知識とスキルが求められます。
2.知識やスキルの多様性
経理担当者は、企業の財務管理や税務処理など様々な知識やスキルを持っている必要があります。
具体的には、企業の資金繰りや予算策定、収益と費用の管理、利益最大化のための戦略立案、資金調達の検討、税金の計算や申告、財務諸表の作成や分析、内部統制の確立、監査への対応などが含まれます。
これらの業務を遂行するためには、広範な知識と経験が必要です。
3.経験の不足
実務経験を積むことで習得される部分も多くあります。
しかし、経理担当者の中には実務経験の不足する新入社員や異業種からの転職者も多く、経験を積む機会が制限されている場合もあります。
例えば、新卒で経理部に配属された社員は、大学や専門学校での学びを基にしているため、実際の業務には不慣れなことが多いです。
彼らはまだ経験が浅く、会計ソフトウェアの操作や財務報告書の作成など、実務上必要なスキルを習得するために時間がかかることがあります。
経理担当者の育成には、実務経験を積む機会を提供することが重要です。
経理部内での研修やOJT(On-the-Job Training)プログラムを導入することで、新入社員や異業種からの転職者に対して実務経験を積む機会を与えることができます。
また、業務の効率化やデジタル化を推進することで、経理担当者がより多くの実務経験を積むことができる環境を整えることも重要です。
4.権力の集中
経理業務は会社の資金の取り扱いや予算の管理など、重要な領域です。
そのため、経理担当者が権力を持ってしまうことがあります。経理担当者自身が欲望に走ったり、組織内でのパワーバランスが崩れたりするリスクも存在します。
5.引継ぎの困難さ
経理担当者が退職した場合、引継ぎを行うことは非常に困難です。
例えば、ある会社では、長年勤めた経理担当者が退職することになりました。彼は会社の財務状況や取引先との契約内容など、重要な情報を熟知していました。
しかし、引継ぎのために彼の知識や経験を他の人に伝えることは容易ではありませんでした。
彼は多くの仕事を一人で担当しており、その中には複雑な会計処理や税務申告なども含まれていました。
経理業務は専門的な知識と経験を要するため、他の社員が即座に引き継ぐことは難しいのです。
退職者の代わりに新たな経理担当者を採用することも考えられますが、新人が即戦力となるまでには時間がかかります。
経理業務の継続性を保つためには、引継ぎ期間中に退職者と新人が並行して業務を行うことが必要ですが、これには追加の負担がかかります。
そのため、経理担当者の退職による業務の停滞や混乱が起こることがあります。
例えば、請求書の処理や支払いの管理、月次の財務報告などが遅れる可能性があります。
また、経理担当者が保持していた重要な情報や文書が見つからない場合もあります。
これらの問題は、業務の遅延やミスを引き起こし、会社の財務状況や信頼性に影響を与える可能性があります。
したがって、経理担当者の退職に備えて、経理業務のマニュアル作成やトレーニングプログラムの整備など、引継ぎのプロセスを確立することが重要です。
また、経理業務を複数人で分担することや、外部の経理アウトソーシング会社と提携することも検討すべきです。
これにより、経理業務の継続性と安定性を確保し、退職者の影響を最小限に抑えることができます。
まとめ
経理担当者の育成は専門性が高く責任の大きい業務であるため、育成には多くの困難が伴います。
専門性の高さと責任の重さ、知識やスキルの多様性、経験の不足、権力の集中、引継ぎの困難さなどがその主な理由です。
企業はこれらの課題に対して、経理担当者の教育プログラムや適切な引継ぎ手続きを検討する必要があります。
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