経理ミスにはどのようなものがあるか
日々の経理業務で担当者も経営者も悩まされるのが、なくならない経理ミスではないでしょうか。ここでは、経理ミスの種類を列挙してから、最終的に経理ミスを防止するための方法を考えていきたいと思います。
典型的なミスを明確にして未然に防ぐ
どのような会社でも、ありがちな経理ミスというものがあります。それらの経理ミスが生じやすい状況を知ることで、発生を未然に防ぐことができます。
経理ミスの発生パターン
それでは、典型的な経理ミスを企業の取引サイクルに準じて列挙してみたいと思います。企業の取引サイクルは、2段階にわけられます。すなわち、
- 会計事実の発生段階・・・発生した取引を会計的に把握する段階
- 会計事実の記録段階・・・発生した取引を帳簿に記録する段階
です。それぞれの段階において、どんな経理ミスが生じやすいか業務の種類別にみていきましょう。
あなたの会社でも、こんな経理ミスを経験していませんか?
会計事実の発生段階で生じやすい経理ミス
請求業務
- 売上 請求書を発送漏れしている
- 売上 発行した請求書の金額ちがい
支払業務
- 仕入 受け取った請求書の紛失
- 振込先の口座情報が誤って入力している
- 請求書に記載されている振込先情報が古かった
- 振込金額の間違い
- 振込先の漏れ、支払遅延
経費精算
- 申請された勘定科目が誤っている
- 申請された金額が誤っている
- 架空経費の請求
- 納付書の紛失
給与計算
- 給与計算の残業の集計が誤っている
- 社会保険事務に関する誤り
- 法制度への対応漏れ
会計事実の記録段階で生じやすい経理ミス
- 売上計上時期の誤り
- 売上の二重計上
- 売上の計上漏れ
- 入金した金額の入力ミス
- 入力した桁数(0の数)が違う
- 入力した位を誤って認識している
- 仕訳入力時に勘定科目が誤っている
- 仕訳入力時に振込手数料が反映されていない
- 証憑の誤った箇所から転記している
- 経費の二重計上
- 消費税区分が誤っている
- 経過勘定の計上漏れ
さて、いかがだったでしょうか。一言に「経理ミス」といっても、その種類はこんなにも多岐にわたることがお分かりになるかと思います。そして、このようにまとめることによって、経理ミスは取引サイクルのあらゆる段階において生じうることが明らかにできました。
以降の連載では、これらを防止する方法について考えていきたいと思います。